内発的動機付け
内発的動機付けとは、報酬や評価を得るためではなく、活動そのものに興味、楽しさ、やりがいを感じることによって生まれる動機付けです。
例えば、
「もっと上達したい」
「考えること自体が面白い」
「この仕事をやっていると充実感がある」
と感じて行動する場合が該当します。
内発的動機付けは、自己決定理論などのモチベーション研究でも重要な概念として扱われています。
内発的動機付けと外発的動機付けの違い
内発的動機付けでは、行動そのものから得られる満足が行動の理由になります。
一方、外発的動機付けでは、報酬、評価、昇進など、行動とは別の結果を得ることが動機になります。
例えば、勉強について、
「新しいことを知るのが面白いから勉強する」
のであれば内発的動機付け、
「試験で良い点を取るために勉強する」
のであれば外発的動機付けに近いと考えられます。
ただし、実際の行動には複数の動機が同時に存在することがあります。
仕事における内発的動機付け
仕事では、
・仕事そのものが面白い
・難しい課題を解決することが楽しい
・自分の能力が高まっていると感じる
・自分なりに工夫できる
といったことが内発的動機付けにつながる場合があります。
ただし、何に面白さを感じるかは人によって異なります。
競争を楽しむ人もいれば、人を支援することや専門性を高めることに喜びを感じる人もいます。
「やる気を出させる」より本人の関心を理解する
内発的動機付けは、上司が一方的に与えるものではありません。
そのため、
「この仕事を好きになりなさい」
「もっとやりがいを持ちなさい」
と伝えても、内発的な意欲が生まれるとは限りません。
本人が何に興味を持ち、何をすると成長や達成感を感じるのかを理解し、それを仕事と結びつけることが重要です。
人を動かすためには、報酬を与えることだけでなく、その人自身が「やりたい」「もっとできるようになりたい」と思う心理を理解することも重要です。
日本経営心理士協会では、人が何に価値ややりがいを感じるのかを理解し、人材育成やマネジメントに活かす方法を経営心理学として体系化しています。
報酬を与えると内発的動機付けは下がるのか
「報酬を与えると必ず内発的動機付けが下がる」と考えるのは適切ではありません。
もともと興味を持って行っていた活動に対して、報酬が「やらされている」という感覚を強める形で使われると、内発的な意欲が低下する場合があります。
一方で、報酬やフィードバックの与え方によって影響は異なります。
そのため、外的な報酬そのものを否定するのではなく、それが本人にどのように受け止められているかを考えることが重要です。
経営心理学から見る内発的動機付け
経営心理学の観点では、「会社が与えたいもの」と「本人が価値を感じるもの」が一致しているとは限らないことが重要です。
昇進を望む人もいれば、専門性を高めたい人、自分の裁量で仕事をしたい人、人の役に立つことを重視する人もいます。
日頃の対話や質問によって、その人が何に価値を感じているのかを理解することが、人を動かすマネジメントにつながります。
内発的動機付けから学べること
内発的動機付けとは、活動そのものに楽しさ、興味、やりがいなどを感じて行動することです。
人材育成では、「どうすればやらせられるか」だけでなく、「本人は何に意味や面白さを感じるのか」という視点が重要です。
日本経営心理士協会の「経営心理士講座」では、一人ひとり異なるモチベーションの仕組みを理解し、人材育成や組織づくりに活かす方法を学びます。

この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツに入所。独立後、日本経営心理士協会を設立。
高い成果を残す経営者・ビジネスマンの共通点を心理学的に分析し、人間心理に基づく経営・ビジネスの手法を経営心理学として体系化。経営心理学を用いて1200件超の経営改善を行う。
その成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行でも教鞭をとり、日経新聞やダイヤモンド、東洋経済にも掲載される。







