感情伝染
感情伝染(emotional contagion)とは、他者の感情表現などに接することで、自分の感情にも変化が生じ、互いの感情状態が近づくことがある現象を指します。
人は、相手の表情、声の調子、姿勢、話し方などから多くの情報を受け取っています。
相手の表情や声などに無意識に反応し、それが自分自身の感情にも影響することがあります。
ただし、相手と必ず同じ感情になるわけではありません。
相手との関係や状況、感情の解釈などによって反応は変わります。
職場でも感情は周囲に影響する
職場では、多くの人が長時間一緒に働いています。
そのため、一人の表情や声のトーン、態度が、周囲の人の心理状態に影響する場合があります。
例えば、上司が常に苛立った表情で話していれば、部下が緊張し、質問や相談を控えるようになることがあります。
反対に、トラブルが起きたときでも上司が落ち着いて対応することで、周囲も状況を冷静に捉えやすくなる場合があります。
上司の感情が重要な理由
上司は、部下にとって自分の評価や仕事に影響する存在です。
そのため、上司の表情や感情の変化に敏感になる部下もいます。
上司自身は「何も言っていない」と思っていても、不機嫌な表情や強い口調によって、部下が、
「話しかけない方がいい」
「今は相談できない」
と判断する可能性があります。
組織では、何を伝えるかだけではなく、どのような感情や態度で伝えるかもコミュニケーションの一部です。
日本経営心理士協会では、上司やリーダーの感情が周囲の心理や行動にどのような影響を与えるのかを理解し、マネジメントに活かす経営心理学を体系化しています。
営業でも感情は伝わる
営業担当者が自信なく商品を説明していれば、顧客が商品に対して不安を感じる場合があります。
反対に、営業担当者自身が商品の価値を理解し、誠実に自信を持って話していれば、その態度が相手の受け止め方に影響することがあります。
ただし、明るく振る舞えば必ず契約につながるという意味ではありません。
重要なのは、自分自身の感情や態度も、相手が受け取る情報の一部だということです。
感情を無理に抑えればよいわけではない
感情伝染があるからといって、経営者や上司が常に笑顔でいなければならないわけではありません。
問題が起きたときに懸念や危機感を適切に伝えることも必要です。
重要なのは、自分の感情を無自覚に周囲へぶつけるのではなく、現在の感情を認識し、どのように表現するかを考えることです。
経営心理学から見る感情伝染
リーダーの感情は、その人だけの問題ではなく、周囲とのコミュニケーションにも影響します。
そのためマネジメントでは、部下の感情を理解すると同時に、自分自身の感情を理解することも重要です。
感情伝染から学べること
感情伝染とは、他者の感情表現などを通じて、自分の感情にも変化が生じることがある現象です。
組織では、上司の言葉だけでなく、表情、声、態度なども部下に影響する可能性があります。
日本経営心理士協会の「経営心理士講座」では、自分と相手の感情を理解し、人材育成、組織づくり、営業に活かす方法を体系的に学びます。

この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツに入所。独立後、日本経営心理士協会を設立。
高い成果を残す経営者・ビジネスマンの共通点を心理学的に分析し、人間心理に基づく経営・ビジネスの手法を経営心理学として体系化。経営心理学を用いて1200件超の経営改善を行う。
その成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行でも教鞭をとり、日経新聞やダイヤモンド、東洋経済にも掲載される。







