エンゲージメント
エンゲージメント(engagement)とは、一般に「関与」「結びつき」などを意味する言葉で、組織・人事分野では社員と仕事・組織との関わりを表す言葉として使われています。
ただし、「従業員エンゲージメント」には複数の定義があり、使用する企業や調査によって意味が異なる場合があります。
学術研究で広く使われている概念の一つが「ワーク・エンゲージメント」です。
ワーク・エンゲージメントは、仕事に関する前向きで充実した心理状態で、活力・熱意・没頭の3つによって特徴づけられます。
ワーク・エンゲージメントの3つの要素
活力
仕事をしているときにエネルギーがあり、困難があっても粘り強く取り組もうとする状態です。
熱意
仕事に意味や誇りを感じ、意欲を持って取り組んでいる状態です。
没頭
仕事に集中し、時間を忘れるほど取り組んでいる状態です。
単に「会社が好き」というだけではなく、実際の仕事に対してどのような心理状態で向き合っているかが重要になります。
エンゲージメントと従業員満足度の違い
従業員満足度とエンゲージメントは関連しますが、同じ概念ではありません。
給与、福利厚生、勤務時間などに満足していても、仕事そのものに熱意を持っているとは限りません。
反対に、仕事に強いやりがいを感じていても、職場環境に不満を感じる場合もあります。
そのため、「社員が満足しているか」と「仕事に活力や熱意を持っているか」は分けて考える必要があります。
エンゲージメントを高める要因
仕事の裁量、上司や同僚からの支援、成長機会、適切なフィードバックなど、仕事上のさまざまな資源がワーク・エンゲージメントと関連することが研究されています。
ただし、一つの施策を導入すれば全社員のエンゲージメントが上がるという単純なものではありません。
本人の仕事内容や価値観、職場環境などを総合的に考える必要があります。
社員がどのような状態で仕事に向き合っているのかを理解するには、制度だけでなく、その人の心理を見ることが重要です。
日本経営心理士協会では、人が仕事にどのような意味や価値を感じ、どのような関わりによって意欲が変化するのかを経営心理学として体系化しています。
エンゲージメントは「長時間働くこと」ではない
仕事に熱心に取り組むことと、長時間働き続けることは同じではありません。
仕事から離れられない状態や、健康を損なうほど働くことをエンゲージメントの高さと考えるのは適切ではありません。
重要なのは、活力を持ち、仕事に意味を感じながら取り組める状態です。
マネジメントで重要なこと
上司ができることの一つは、部下が仕事の意味や自分の貢献を理解できるようにすることです。
単に、
「この仕事をやってください」
と伝えるだけでなく、
「なぜこの仕事が必要なのか」
「誰にどのような価値を生むのか」
まで伝えることで、仕事の意味を感じやすくなる場合があります。
経営心理学から見るエンゲージメント
経営心理学の観点では、社員を一律に「やる気がある・ない」と見るのではなく、その人が何に価値を感じ、どのような関係や環境で力を発揮しやすいのかを見ることが重要です。
対話を通じて本人の価値観や仕事への意味づけを理解することが、組織づくりの重要な要素になります。
エンゲージメントから学べること
エンゲージメントは、単なる会社への満足ではなく、人が仕事にどのような心理状態で向き合っているのかを考える概念です。
日本経営心理士協会の「経営心理士講座」では、人のモチベーションや仕事への意味づけを理解し、人材育成・組織づくりに活かす方法を体系的に学びます。

この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツに入所。独立後、日本経営心理士協会を設立。
高い成果を残す経営者・ビジネスマンの共通点を心理学的に分析し、人間心理に基づく経営・ビジネスの手法を経営心理学として体系化。経営心理学を用いて1200件超の経営改善を行う。
その成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行でも教鞭をとり、日経新聞やダイヤモンド、東洋経済にも掲載される。







