認知バイアス
認知バイアスとは、人が物事を認識したり判断したりする際に生じる、一定の方向への偏りを指します。
人は、目の前にあるすべての情報を完全に分析して判断しているわけではありません。
限られた時間や情報の中で素早く判断するため、過去の経験や直感、目立つ情報などを利用します。
こうした判断の仕組みは日常生活を効率化する一方で、状況によっては判断の偏りにつながることがあります。
認知バイアスの代表例
認知バイアスにはさまざまな種類があります。
例えば、
確証バイアス
自分の考えを支持する情報を重視し、反対する情報を軽視しやすくなる傾向です。
アンカリング
最初に提示された数値や情報が、その後の判断に影響することです。
現状維持バイアス
変化による不確実性などを避け、現在の状態を維持しようとしやすくなる傾向です。
こうしたバイアスは、経営判断、採用、営業、人事評価などさまざまな場面で影響する可能性があります。
認知バイアスは「頭が悪いから起きる」のではない
認知バイアスは、知識がない人だけに起こるものではありません。
経験豊富な人や専門家でも、判断の偏りが生じる場合があります。
むしろ経験が豊富であるほど、
「これまでの経験ではこうだった」
という考えに引っ張られることもあります。
重要なのは、「自分にはバイアスがない」と考えるのではなく、自分の判断にも偏りが生じる可能性があると認識することです。
経営判断における認知バイアス
経営では、不確実な状況の中で判断することが少なくありません。
例えば、過去に成功した商品に強い思い入れがあることで、環境が変わっても撤退の判断が遅れる場合があります。
また、自分が決めた経営方針を支持する情報ばかり集めてしまえば、問題を過小評価することもあります。
重要な意思決定ほど、反対意見や異なるデータを意識的に確認することが重要になります。
人は、自分では客観的に判断しているつもりでも、過去の経験や感情、思い込みなどの影響を受けることがあります。
日本経営心理士協会では、人がどのような心理によって判断し、その判断が経営やビジネスにどう影響するのかを経営心理学として体系化しています。
部下の評価にも認知バイアスは影響する
認知バイアスは、人事評価にも影響することがあります。
例えば、ある一つの優れた特徴から、その人全体を高く評価してしまったり、最初に持った印象にその後の評価が影響されたりする場合があります。
評価する側が自分の判断の偏りを意識し、具体的な行動や成果に基づいて評価することが重要です。
認知バイアスを完全になくすことは難しい
認知バイアスを学んだからといって、すべての偏りをなくせるわけではありません。
そのため、
「反対意見を意識的に聞く」
「複数の人で判断する」
「判断基準を事前に決める」
「感情が強く動いているときは判断を急がない」
といった仕組みによって、影響を抑えることが重要です。
経営心理学から見る認知バイアス
経営心理学では、正しい知識を持つだけでなく、「自分がどのような心理状態で判断しているのか」を理解することが重要です。
経営者や管理職の判断は、多くの社員や顧客に影響を与えるため、自分自身の思考の癖を振り返ることが重要になります。
認知バイアスから学べること
認知バイアスとは、人間の認識や判断に生じる一定の偏りです。
重要なのは、バイアスがあること自体を責めることではなく、その存在を理解し、よりよい判断を行う仕組みをつくることです。
日本経営心理士協会の「経営心理士講座」では、人の判断や意思決定に影響する心理を理解し、経営やマネジメントに活かす方法を学びます。

この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツに入所。独立後、日本経営心理士協会を設立。
高い成果を残す経営者・ビジネスマンの共通点を心理学的に分析し、人間心理に基づく経営・ビジネスの手法を経営心理学として体系化。経営心理学を用いて1200件超の経営改善を行う。
その成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行でも教鞭をとり、日経新聞やダイヤモンド、東洋経済にも掲載される。







