心理的リアクタンス
心理的リアクタンスとは、自分の自由が制限されたり、選択肢を奪われたりしたと感じたときに、その自由を取り戻そうとする心理的な反応を指します。
心理学者ジャック・ブレーム(Jack W. Brehm)が1966年に提唱したリアクタンス理論で知られる概念です。
例えば、
「絶対にこれを買った方がいい」
「あなたはこの方法でやるべきだ」
と強く言われると、それまで特に反対していなかった人でも、
「自分で決めたい」
という気持ちが強まり、反発することがあります。
なぜ強く説得すると逆効果になることがあるのか
人は、自分で選択できると感じていた行動について、その自由を奪われたと感じると、反発することがあります。
そのため、相手を動かしたいという思いが強すぎると、説得が逆効果になる場合があります。
これは営業だけでなく、上司と部下、親子などのコミュニケーションでも起こる可能性があります。
営業における心理的リアクタンス
営業担当者が、
「この商品にした方が絶対に得です」
「今日契約しないと損ですよ」
と強く迫ると、顧客は商品の価値よりも、
「売り込まれている」
「選択を強制されている」
という感覚を持つことがあります。
その結果、商品自体には関心があっても、購入を避ける場合があります。
顧客自身が判断できる余地を残すことが重要です。
人を動かすには、強く説得することだけが方法ではありません。
相手が自分で考え、自分で選んだと感じられるコミュニケーションも重要です。
日本経営心理士協会では、人がどのような関わりに反発し、どのような関わりによって自発的に行動するのかを理解し、営業やマネジメントに活かす経営心理学を体系化しています。
部下への指示でもリアクタンスは起こる
部下に対して細かくすべてを指示すると、本人が自分で考える余地がなくなり、「やらされている」という感覚を持つことがあります。
必要な指示を出しながらも、
「あなたはどう進めるのがいいと思う?」
と考えてもらったり、方法について一定の裁量を与えたりすることで、自発的な行動につながる場合があります。
すべての指示がリアクタンスを生むわけではない
心理的リアクタンスがあるからといって、指示や説得をしてはいけないわけではありません。
緊急時や安全上必要な場面では、明確な指示が必要です。
また、相手が納得しているルールや正当性を理解している指示であれば、強い反発が生じない場合もあります。
重要なのは、相手がどの程度「自由を奪われた」と感じるのかを考えることです。
経営心理学から見る心理的リアクタンス
人を動かそうとするとき、「どう言えば従ってもらえるか」だけを考えると、一方的なコミュニケーションになりやすくなります。
相手が自分自身で考え、納得して行動できるような質問や選択肢を提示することも重要です。
心理的リアクタンスから学べること
心理的リアクタンスとは、自由を制限されたと感じたときに、その自由を取り戻そうとする心理的反応です。
営業でもマネジメントでも、相手を強く動かそうとするほど反発が生まれる場合があります。
日本経営心理士協会の「経営心理士講座」では、相手の心理を理解し、自発的な行動につながる伝え方や質問の方法を学びます。

この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツに入所。独立後、日本経営心理士協会を設立。
高い成果を残す経営者・ビジネスマンの共通点を心理学的に分析し、人間心理に基づく経営・ビジネスの手法を経営心理学として体系化。経営心理学を用いて1200件超の経営改善を行う。
その成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行でも教鞭をとり、日経新聞やダイヤモンド、東洋経済にも掲載される。







