経営心理学コラム

2017.5.22300年間語り継がれた人を説得するための3要素

紀元前に書かれ、約2,300年もの長きにわたり読み継がれ、欧米の知識層の間では今もなお説得のバイブルとして読まれている名著があります。

古代ギリシャの哲学者:アリストテレスが著した「弁論術」です。

「弁論術」には人を説得し動かすためのスキルや在り方、人間心理について詳細な分析が記され、人を説得し動かすための要素として、①エトス(信頼)、②パトス(感情)、③ロゴス(論理)の3つが挙げられています。

エトスは話し手の人柄、徳、信頼性を意味します。

パトスは感情を意味し、話し手は相手が抱いている気持ちや感情を理解し共感するとともに、感情に訴えかけることが必要だとしています。

ロゴスは論理を意味し、論理的、合理的に話の正しさを伝えることが必要だとしています。

この3つの要素を満たす場合、相手に対して強い説得力を持つことができるとしていますが、これは脳の構造に照らしてみても正しいと言えます。人間の脳は約8割を大脳が占め、その大脳の大半は大脳辺縁系と大脳新皮質から構成されます。

大脳辺縁系は本能、情動、感情、記憶などを司り、「感情の脳」としての性質を持ちます。大脳新皮質は言葉や知性、合理性、論理性、数字などを司り、「論理の脳」としての性質を持ちます。

つまり、アリストテレスの説得の3要素のうち、パトスは「感情の脳」を納得させ、ロゴスは「論理の脳」を納得させる要素であることが分かります。

そして、そのための言葉が力を持つ前提として信頼が必要となります。そのため、2,300年にわたり人々に支持されてきたこの3要素は、脳科学的にも的を得ていると言えます。

セールスやマーケティングにもこの3要素は効果を発揮します。

まずは正確で丁寧な対応をする、実績やお客様の声を示すなどしてお客様から信頼を得る必要があります。信頼が得られると発する言葉に力が宿ります。その上で、商品に関心を持っていただくために、お客様の感情を動かします。

感情を動かすための強力なツールが物語です。商品ができるまでの物語、商品を購入された他のお客様が喜んでいる物語、商品を買った後に待っている物語などを伝えることで感情を動かします。

そして、商品を買うことの必要性を論理的、合理的に説明します。

そのために重要なのが、「理由」と「数字」です。

なぜこの商品をお客様に勧めるのか、その理由を説明し、得られるメリットを数字で表現する。そうやって、説得の3要素を意識したコミュニケーションをとることで、セールスやマーケティングの効果を上げることができます。

この3要素はその他にも、従業員に対するリーダーシップや資金調達など、様々な場面で効果を発揮します。この3要素は経営・ビジネスにおいて成果を高める上で重要な人の心の原則です。

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