2021.11.17営業の成約率を高める質問力 ~なぜトップセールスの営業マンは質問を重ねるのか~
この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
(社)日本経営心理士協会 代表理事/経営心理士、公認会計士、税理士
19歳から心理学を学び、1,200件超の経営指導の経験を基に成果を出す人の行動を心理学的に分析し、経営心理学として体系化。その内容を指導し、経営改善の成果を高める。
その手法を伝える経営心理士講座を開講。国内、海外からのべ4,000名超が受講。民間企業や金融庁でもその内容が導入される。日経新聞、日経ビジネス等、メディア取材も多数。
日本経営心理士協会代表理事の藤田です。
私は経営心理士として優れたビジネスパーソンの行動を心理学的に分析した結果を経営心理学として体系化し、経営のコンサルティングを行っています。
私のところには様々な経営やビジネスのご相談が寄せられます。
その中でも多いご相談が「成約率が低い」という相談。
「成約率が低いなら数をこなせ」
そうやって、数打ちゃ当たる方式で営業を展開する人もいます。
そういう人には私は一旦待ったをかけます。
お客様は一度提案を聞いて興味がわかなければ、二度と話を聞いてくれません。
つまり、成約率が低い状態で見込客を訪問するということは、二度と話を聞いてくれない人を増やしていくことでもあります。
労力をかけ、コストをかけて見つけた見込客を二度と話を聞いてくれない人に変えていく。
あまりにもったいないことです。
そのため、「数打ちゃ当たると走り回る前に、成約率を上げる提案の仕方を考えましょう」と指導します。
では、成約率を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。
なぜ営業において質問が大事なのか
様々な要素について検討することが必要ですが、中でも重要なのが「質問」です。
営業はお客様に商品の価値を伝えることです。
お客様は自分のニーズを満たしてくれる商品に価値を感じます。
そのため、営業でやるべきことは「弊社の商品はあなたのニーズを満たします」ということを説得力を持って伝えることです。
つまり、お客様のニーズを詳細に把握し、そのニーズに沿う形で自社の商品がそのニーズをどのように満たすかを説明することが営業でやるべきことであり、商品に価値を感じていただくために必要なコミュニケーションです。
ただ、これまでも弊社に多くの営業マンの方が営業に来られましたが、ほぼ全ての方は次のような流れで提案をされます。
1.名刺交換をしてアイスブレークの雑談
2.本題に入り、パンフレットを広げる
3.会社説明(事業内容、顧客数、東証1部上場などの実績、業歴、支店の数など)
4.商品説明(機能、内容、他社商品にはない強み、価格など)
5.ここまでの説明について不明な点がないかの質問
こういった提案は、お客様のニーズを詳細に把握することをしないままに会社説明、商品説明をしています。
先ほどもお伝えしましたが、営業でやるべきことは「弊社の商品はあなたのニーズを満たします」ということを説得力を持って伝えることです。
これを行うためには、お客様のニーズを詳細に把握することが不可欠であると言えます。
そしてニーズを把握するために必要なこと、それが質問です。
質問でニーズの詳細を把握することで成約率は上がる
しかしながら、上記の1~5の流れで提案するのみで、お客様のニーズを詳細に把握する質問をしない方が非常に多いです。
ただ、こういった話をすると、「お客様が自社の商品に抱くニーズは決まっているから、わざわざ聴くまでもない」と言う方もいらっしゃいます。
しかし、お客様のニーズはお客様によって微妙に異なります。
例えば、「HPを作りたい」というニーズの場合、そのニーズを詳細に把握していくと、例えば次のような内容を把握することができます。
・SNSの連携を強化してマーケティングの流れを作りたい
・有効なSEO対策を展開したい
・セミナーに誘導したい
・ECサイトで商品を売って、店舗や社員を抱えないようにしたい
・得意先や銀行から信頼を得たい
・リクルートで成果を出したい
・デザインがかっこいいHPを持ちたい
・見てくれた人を癒したい
・社長個人をアピールしたい
・自分の想いを多くの人に伝えたい
・自分で直接修正・更新したい
・シンプルでいいから早く完成させたい
・とにかく安く作りたい etc.
このように「HPを作りたい」というニーズの背景には様々な細かいニーズが存在します。
そういったニーズを把握せずに、構成やレイアウトによって価格がどのように変わるのかを説明するだけでは、お客様は自分のニーズが満たされると感じにくくなります。
その結果、商品に高い価値を感じていただくことは難しくなります。
お客様は細かいニーズまで満たされそうだと感じると、商品に高い価値を感じ、「この会社から買おう」と思っていただけるようになります。
しかし、細かいニーズまで満たされるかは分からない、あるいは満たされなさそうだな、と思うと、商品に価値を感じにくくなり、他の会社から買おうと思われる可能性が高くなります。
また、お客様はニーズの詳細についてお話しされる過程で、ご自身のニーズが頭の中で整理されていきます。
それによってそのニーズを満たす必要性をより強く感じていただけるようになり、それは購買意欲が高まることにも繋がります。
トップセールスマンは質問上手であり、聴き上手
私は営業のコンサルティングの仕事もやっていますが、依頼があった会社では、必ずトップセールスの営業マンの方にどのような提案の仕方をしているかをヒアリングしています。
そういった方々は細かなニーズまで把握し、それに応じた提案の仕方をされている方が多いです。
どんな提案をしても、その提案がお客様のニーズに合っていなければ、お客様は商品に価値を感じてくれない、だからこそお客様のニーズを詳細に把握することが重要だということを感覚的に分かっておられます。
そのため、こういった方々に共通するのは、質問上手であり聴き上手であるということです。
これまでコンサルティングや講座を通じて経営者の方、営業職の方にニーズを把握する質問のスキルをお伝えしていますが、成約率は格段に上がっています。
中には、「問い合わせがあった際の成約率はほぼ100%になりました」という方もいらっしゃいます。
それほどニーズを把握する質問は成約率を左右します。
また、ニーズの詳細を把握する中で別の新たなニーズが出てくることもあります。
そういったニーズを把握できると、さらに別の商品も提案できるようになり、さらなる売上の増加につながっていきます。
また、この詳細なニーズの把握は購入後にお客様に商品・サービスを提供する際にも大きな意味を持ちます。
お客様のニーズを詳細に把握した上で、そのニーズを満たすように商品・サービスを提供するのと、そういったニーズを把握しないままに提供するのとでは、お客様の満足度に大きな差が生じます。
この満足度の差がリピート率の差となり、また口コミ、紹介によってお客様が増える確率の差にもなっていきます。
このように、質問は営業力を大きく高める可能性を秘めています。
営業の中でまだ質問を使いこなせていないという方は、それだけ大きな伸びしろがあるということでもあります。
是非、営業の中に質問を取り入れてみてください。
また、営業をする上では、ニーズを把握した後、自社の商品がそのニーズを満たすということを説得力を持って伝えなければなりません。
そこで必要となるのが、商品の魅力を伝える表現です。
そして、この表現がお客様の心を動かすかどうかに大きく影響するのが「未来」の見せ方です。
日本経営心理士協会では、1,000件超のコンサルティング事例と心理学に基づいて、経営やビジネスの成果を高めるスキルを身に付ける経営心理士講座を開催しています。
経営心理士講座では質問力を磨き、未来の見せ方など、商品の魅力を伝える力を高めるためのスキルを、現場での成功事例と心理学的な解説と共にお伝えしています。
詳細は次の通りですので、ご興味ある方はご覧いただければと思います。
https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/business/
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