経営心理学ブログ

2021.3.2税理士・弁護士・社労士などの士業が独立開業に失敗する3つの原因と対処法

 

税理士、弁護士、社労士などの士業は手に職をつけて独立開業される方が多い業界です。

独立開業は多くの人の憧れでもあり、自由と大きな可能性を手に入れるものでもあります。

 

ただ、専門的な知識と経験を持って独立開業したとしても、食べていくことは決して簡単ではありません。

なぜなら、独立開業して経営を行っていく上では、実務上の専門知識や経験以外の要素が問われるからです。

そういった要素を満たすことができず独立開業に失敗し、廃業する士業も少なくありません。

 

そこで、多くの士業の経営を指導してきた経験から、士業が独立開業に失敗する3つの原因(①営業がうまくいかず仕事がとれない、②働いても働いても利益が出ない、③離職率が高く内部崩壊する)とその対処法についてお話ししたいと思います。

 

 

  • 1.営業がうまくいかず仕事がとれない

独立開業に失敗する3つの原因の1つ目は、営業がうまくいかず、仕事がとれないということです。

実務上の専門知識と経験があっても、営業で仕事が取れない人は独立開業しても長続きはしません。

 

営業で仕事を取るためには、1.顧客の獲得ルートを把握する、2.他の同業の事務所にない強みを創る、3.顧客獲得に必要なコミュニケーションスキルを身に付ける、4.SNSを活用する、の4つが重要になります。

そこでまず1について士業が顧客を獲得する主な5つのルートについてお話ししたいと思います。

 

それは、①前職のお客様からの紹介、②他の士業からの紹介、③交流会等での出会い、④Webからの問い合わせ、⑤顧客からの紹介です。

では、順番に見ていきましょう。

 

 

1.士業が顧客を獲得する5つのルート

  • ①前職のお客様からの紹介

前職のお客様を引き継いで持ってくることができれば、開業時から一定の売上を確保することができます。

前職を辞める際にお客様にご挨拶に伺い、独立開業する旨と「また何かありましたら宜しくお願いします」と一言伝えておけば、そこから仕事の依頼が来たり、他のお客様を紹介してもらえたりすることもあります。

ですので、退職前にはお客様への挨拶はしっかりやっておきましょう。

 

また、人手不足の状況にある事務所を辞める場合は、辞めた後も前の事務所から下請けとして仕事をふってもらえたりもします。

そのためにも元の事務所とは良好な関係を維持して退社することが大事です。

 

 

  • ②他の士業からの紹介

他の士業からの紹介が最も多い仕事の獲得ルートだと言う士業の方も多いでしょう。

そのため、独立開業後は他の士業との連携は極めて重要だといえます。

 

ただ、他の士業と仲良くなればすぐに仕事を紹介してもらえるかというと、そういうわけではありません。

例えば自分が税理士で社労士の知り合いができたとしても、その社労士には多くの税理士の知り合いがいるでしょう。

その複数人の税理士の知り合いの中から自分を選んでお客様を紹介してもらうためには次の4つを心掛けることが重要です。

  • 他の同業にはない強みをしっかりと表現する
  •  
  • 先に相手にメリットを提供する
  •  
  • 会う頻度を多くする
  •  
  • 愛想良くし、レスポンスは早くする

 

 

  • ③交流会等での出会い

交流会や勉強会に参加して、多くの人と出会う中で仕事の獲得に繋がることもあります。

士業は経営者が直接のお客様になるケースが多いので、経営者が参加する交流会は比較的仕事に繋がりやすいです。

 

また、上記のように他の士業から仕事の紹介をもらうためにも、他の士業と出会う機会は貴重です。

そのため、経営者や士業が参加する交流会に参加することも重要だといえます。

 

筆者も独立開業したばかりの頃はよく交流会に参加していましたが、自分でも「経営者と士業の会」という交流会を主催していました。

そこで多くの経営者や士業との出会いがあり、たくさんの仕事を獲得できたことを思い出します。

 

 

  • ④Webからの問い合わせ

HPからの集客も顧客獲得の重要なルートです。

ただ、そのためにはそれなりに費用をかけて内容が充実したHPを創る必要があります。

また、優れたHPを創ってもそのHPを見てもらわなければなりません。

つまりHPにアクセスを集めることが必要になります。

HPにアクセスを集める方法としては、主に次の3つがあります。

  • SEO対策HP内に自分の専門分野のブログを書き溜める
  •  
  • Web広告を出す
  •  
  • SNSから誘導する→詳細は後段でお伝えします

 

特に②については自力で効果を出すのは難しいため、Web集客のコンサルタントにお願いした方がいいでしょう。

 

 

  • ⑤顧客からの紹介

提供する業務の内容が良く、顧客満足度が高ければ、お客様から他のお客様をご紹介いただけるようになります。

お客様からの紹介だけで十分な売上が得られている士業の方もいらっしゃいます。

顧客満足度をあげるためには、書類を早く正確に作る、知識と経験が豊富ということはもちろんのことですが、差がつきやすいのが次のような点です。

 

メールや電話等のレスポンスの速さ

話の分かりやすさ

話の聴き方、表情、笑顔の多さ、愛想の良さ→詳細は後段でお伝えします

 

顧客獲得の実践的なスキルと成功事例に関してはこちら

  

 

2.他の同業の事務所にない強みを創る

世の中には自分と同じ士業はたくさんいます。

その士業の中から自分を選んでもらうためには、他の同業の士業にはない強みを持つことが重要になります。

例えば弁護士であれば、「世の中に弁護士事務所はたくさんある中で、あなたの事務所を選んだ方がいい理由は何ですか?」という質問をされた時、明確な答えができるような事務所の強みを創ることができていれば、営業を有利に展開することができます。

 

主な強みの作り方としては次のような例があります。

①医療、建設業、不動産業、飲食業など特定の業界に精通している

②国際業務、M&A、相続など特定の業務に精通している

③他の士業、銀行、不動産、保険、ITといった他業種の優れたネットワークがある

④財務コンサルティングや労務コンサルティング等、コンサルティングまでできる

 

 

3.顧客獲得に必要なコミュニケーションスキルを身に付ける

上記の通り、明確な強みを持つことは重要ですが、その前提として顧客獲得のために必要なコミュニケーションスキルを備えておく必要があります。

 

コミュニケーションスキルというと話し方や説明の仕方とイメージされる方が多いですが、それだけではなく、話の聴き方、表情、姿勢、相づち等も含まれます。

特に士業は表情が豊かではなく、愛想がよくない人は少なくありません。

そういう人は自分が愛想が悪いと思っていないことが多く、愛想がよくない点を直そうとしなかったりします。

 

ただ、愛想が悪い人が仕事の紹介をもらうことは至難の業だと思ってください。

たかが愛想と思うかもしれませんが、愛想は売上に大きく影響します。

 

その人が実務能力がどこまで高いかは、会っただけではわかりません。

ですので、誰にお客様を紹介するかを判断するためには、まず愛想で判断します。 

独立開業して多くの売上を獲得している人は愛想の重要さをよく分かっています。

 

コミュニケーションの実践的スキルと成功事例についてはこちら

 

  

4.SNSを活用する

今、何かを調べる際にHPで検索するのではなくSNSで検索する人が増えています。 

SNSには、facebookTwitterInstagramyoutubeClubhouse等がありますが、こちらでフォロワーを増やし、PRすることで顧客獲得に繋げている方も増えています。

 

ここで大事なのは、誰に対して、どういう投稿をすれば顧客獲得に繋がるかを考え、その方針をぶらさないように続けるということです。

そして、次のような流れが作れるように活用することが重要です。

 

①プロフィール欄等にHPやランディングページのURLを貼る

②フォロワーが投稿を見て興味を持つ

③プロフィールを見て、HPやランディングページのURLをクリック

HP、ランディングページを見る

⑤問い合わせ

 

SNSの活用においてよくあるもったいない事例としては次のような点が挙げられます。

フォロワーを増やすことばかり意識して、仕事内容に関係ない投稿ばかりする

奇をてらった投稿をし、面白いけど仕事を任せるのは不安と思われる

プロフィールにHPのURLを貼っていない

 

SNSに力を入れ、フォロワーを増やすことに意識をとられていくと「仕事に繋げる」という本来の目的を忘れてしまいがちです。

フォロワーの数は少なくとも仕事に繋がる運用をする方が重要ですので、くれぐれもその点は注意して下さい。

 

 

2.働いても働いても利益が出ない

営業がうまくいき、お客様が増えて売上は伸びていっても、十分な利益が出ていないという士業事務所は少なくありません。

これも独立開業の失敗といえます。

 

経営の目的は利益を得ることです。

そのため、売上を伸ばしても利益が出ていなければ経営を継続することができません。

 

利益が出なくなる一番の理由は、安い単価で仕事を受けてしまうことです。 

独立開業したばかりの頃は高い単価で提案して断られてしまうのが怖いので、安い単価で提案しがちです。

ある程度の顧客を獲得するまでは安い単価で提案するのもよいかもしれませんが、その後もずっと安い単価で仕事を取り続けると事務所の経営は危機的状況を迎えます。

 

具体的にどういった状態になるか、数字で見ていきましょう。

 

 

①一人で事業を行う場合

1日7時間、月20日働くとすると月の稼働時間は140時間。

その半分の70時間を営業や打ち合わせ、メール等に充てると、実務ができる時間は70時間です。

1件あたり4時間の時間が実務でかかるとしたら、受注可能件数は17件です。

 

生じる経費は、オフィスの賃料5万円、通信費3万円、接待交際費5万円、消耗品・備品7万円、その他の経費5万円の計25万円とします。この場合、月の利益は次のようになります。

 

12万円で受注すると、売上34万円-経費25万円=利益9万円

13万円で受注すると、売上51万円-経費25万円=利益26万円

14万円で受注すると、売上68万円-経費25万円=利益43万円

 

これでは独立開業前の給料の方が良かったという人も多いでしょう。

さらなる利益を獲得すべく、1日の稼働時間を10時間、稼働日数を25日とした場合、稼働時間は250時間。

その半分の125時間を営業や打ち合わせ、メールに充てたとすると、実務可能時間は125時間で、1件あたり4時間かかるとすると受注可能件数は31件です。

この場合、月の利益は次のようになります。

 

12万円で受注すると、売上62万円-経費25万円=利益37

13万円で受注すると、売上93万円-経費25万円=利益68

14万円で受注すると、売上124万円-経費25万円=利益99万円

 

 

②従業員を雇う場合

仕事が増え、経済的に余裕が出てくると従業員を雇うというフェーズに入っていきます。

時給1,300円で週3日、7時間働いてもらうパートさんを2人雇うとすると、1ヶ月の人件費は約22万円となります。

この雇用により月に168時間の稼働時間が確保できます。

実務能力を考慮して1件あたり6時間かかるとすると受注可能件数は28件です。

 

その分の仕事を取ってくるためには、営業や打ち合わせ、メール等の時間がさらに必要になるので、自分の稼働時間250時間のうち170時間を充てたとすると、実務可能時間は80時間、受注可能件数は20件です。

パートさんの担当件数28件と合計すると48件となります。

ただ、パートさん2人を雇う事務所のスペースがなければ、より広い所に引っ越しする必要がありますので家賃は上がることになります。

また、これだけの件数になると経費もさらに多く必要になります。

 

そのため、オフィス賃料8万円、通信費6万円、接待交際費6万円、消耗品・備品8万円、その他の経費7万円とし、経費合計を35万円とします。

この場合、月の利益は次のようになります。

 

12万円で受注すると、売上96万円-経費35万円-人件費22万円=利益39万円

13万円で受注すると、売上144万円-経費35万円-人件費22万円=利益87万円

14万円で受注すると、売上192万円-経費35万円-人件費22万円=利益135万円

 

この利益から10%~40%程度の税金が引かれ、社会保険に入れば社会保険料も引かれます。

また、人件費は基本的に年功序列的に上がっていくことが多いので、その点も考慮する必要があります。

 

単価をいくらで仕事を受けるかで利益がまるで変わることは、このシミュレーションを見ていただいてお分かりになると思います。

独立開業したばかりで仕事の件数が少ない頃は仕事を受注したいがあまり、値段を安くしてしまいがちです。

ただ、高い利益を出していくためには仕事を取るためのアプローチとして、値段を安くするというアプローチではなく、深い信頼関係を築き、自社の価値をしっかり伝えていくというアプローチが必要になります。

 

利益率の高いビジネスモデルの構築と成功事例についてはこちら

 

 

3.離職率が高く内部崩壊する

②で利益のシミュレーションをしましたが、そのうち人を雇うケースについては採用した職員が継続して安定的に仕事をしてくれることが前提となっています。

この点、職員の離職率が高い事務所は職員が辞める度に仕事を教え、生産性が下がるため、上記のようなシミュレーションよりも数字は悪くなります。

 

一時期に職員が一斉に辞めるようなことがあると現場が途端に回らなくなり、所長がすべて一人で対応しようとした結果、体調を崩して休業という事務所もありました。

場合によっては有資格者の職員が他の職員を引き連れて独立開業するというケースもあります。

これによって組織は内部崩壊していきます。これも独立開業の失敗といえるでしょう。

 

そのため、安定して高い生産性を維持し、高い利益を出し続けるためには、離職率の低い事務所にすることが求められます。

 

そのために重要なのが職員とのコミュニケーションです。

業務が忙しくなると職員とは最低限のコミュニケーションしかとらなくなったりしがちです。

その結果、人間関係が疎遠になり、職員はちょっとした質問も所長にしづらくなったり、所長とのメールのやり取りにおいても「所長は怒ってないかな」「自分はどう思われているんだろう」といった疑心暗鬼に陥ったりして、ストレスを溜めていきます。

そして、ストレスが一定のレベルを超えると離職に至ります。

 

一方で所長は職員がこういった状況にあることになかなか気付かなかったりします。

コミュニケーション、特に雑談は職員との心の距離を縮め、良好な関係の維持に大きな役割を果たします。

独立開業して経営をしていく上ではこういった点についても意識していくことが重要になります。

 

職員との関係作りと組織の拡大についてはこちら 

 

以上、独立開業に失敗する3つの原因と対処法についてお話してきました。

これらの内容については当協会が主催する経営心理士講座でより深く学ぶことができます。

経営心理士講座はその成果の高さが認められ、金融庁や大手企業、士業の認定研修にも導入されています。

経営心理士講座の講座説明会(プレセミナー)は随時開催していますので、よろしければご参加ください。

 

経営心理士講座講座説明会(プレセミナー)の詳細はこちら

https://keiei-shinri.or.jp/open-seminar-management-professional/

 

「1.営業がうまくいかず仕事がとれない」に対処するためには、仕事を獲得する経路を明確にし、そこで必要なコミュニケーションをとっていくことが求められます。

この点については、当協会が主催する経営心理士講座の顧客心理士コースクラスBで体系的に学ぶことができます。

 顧客心理士コースクラスBの詳細はこちら 

https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/kokyaku-b/

  

「2.働いても働いても利益が出ない」に対処するためには、サービスの価値の高さを伝えることが求められます。

この点については、経営心理士講座の顧客心理士コースクラスAで体系的に学ぶことができます。

 顧客心理士コースクラスAの詳細はこちら 

https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/kokyaku/

 

 「3.離職率が高く内部崩壊する」に対処するためには、職員とのコミュニケーションと関係創り、組織体制の設計が重要になります。

この点については、経営心理士講座の組織心理士コースクラスA、クラスBで体系的に学ぶことができます。

 

組織心理士コースクラスAの詳細はこちら

https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/soshiki/

 

組織心理士コースクラスBの詳細はこちら

https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/soshiki-b/

 

 独立開業して事業が軌道に乗ると、サラリーマンとして働いていては手に入らないような大きな収益と可能性を手に入れることができます。

今回お話しした失敗に対してしっかり対処し、ぜひそういった夢を実現させて下さい。

日本経営心理士協会は士業の方の独立開業を応援しています。

ご不明な点がございましたら、下記よりお問い合わせ下さい。

受講申込 スケジュール
pagetop