2020.8.4人の言うことを聞かない人でも「誰が言うか」で反応は変わる。影響力の心理とは?
この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
(社)日本経営心理士協会 代表理事/経営心理士、公認会計士、税理士
19歳から心理学を学び、1,200件超の経営指導の経験を基に成果を出す人の行動を心理学的に分析し、経営心理学として体系化。その内容を指導し、経営改善の成果を高める。
その手法を伝える経営心理士講座を開講。国内、海外からのべ4,000名超が受講。民間企業や金融庁でもその内容が導入される。日経新聞、日経ビジネス等、メディア取材も多数。
日本経営心理士協会代表の藤田です。
私は経営心理士として優れた経営者やビジネスパーソンの行動を心理学的に分析した結果を経営心理学として体系化し、経営のコンサルティングを行い、その内容を学ぶ経営心理士講座を主宰しています。
先日、経営のご相談にいらっしゃったある社長がこんなことを話されました。
「彼はね、私の言うことにはいちいち反対するんですよ。でも、他の人間から言われたことは素直に聞くんです。だから余計に腹が立ちますよ」
自分の言うことを聞かない部下。でも、同じことを別の人が言うと、言うことを聞く。
同じ言葉を発しているのに、なぜこうも部下の反応が違うのか?
そんな疑問を感じたことはないでしょうか。
この疑問の答えの鍵となるのが「影響力」です。
影響力とは人を動かす力です。
部下が自分の言うことを聞かないのであれば、それは部下に対して影響力を発揮できていないことになります。
これまで経営心理士として経営の様々な問題の解決をしてきましたが、影響力の欠如が原因となって問題が生じているケースが数多くありました。
今回はこの影響力の心理についてお話しします。
ビジネスで影響力が求められる理由
ビジネスでは、部下、上司、お客様といった「人」とコミュニケーションをとり、動いてもらうことが必要になります。
部下にはモチベーション高く、自分の言うとおりに動いてもらう。
上司には自分の意見を受け入れてもらい、高く評価してもらう。
お客様には商品を買っていただく、他のお客様を紹介していただく。
そんな風に動いてもらうことができれば、仕事は順調に進んでいきます。
そのため、経営やビジネスでは「人」を動かす力である影響力が求められます。
多くの社員を率いて強い組織を作る社長は、社員に対して強い影響力を発揮しています。
優れた営業成績を収める営業マンは、お客様に対して強い影響力を発揮しています。
この影響力はどのように生じるのでしょうか。
言葉の力は信頼の度合いに比例する
影響力は「何を言うか」という言葉と、「誰が言うか」という主体の2つの要素から構成されます。
「誰が言うか」の主体の要素として重要になるのが信頼です。
相手からどれだけ信頼されているかで、発する言葉の力が変わります。
信頼されている人の言葉は強い影響力を持ちます。
大きな信頼を得ている人が言葉を発すれば、多くを語らずとも相手は動いてくれます。
一方、信頼されていない人の言葉は影響力を持ちません。
そのため、信頼を失った人が何を話したところで相手は動いてくれないでしょう。
つまり、言葉の力は信頼の度合いに比例します。
人間的信頼と能力的信頼の両方を得る
では、信頼とは一体、どういうものなのでしょうか。
信頼は「人間的信頼」と「能力的信頼」とに分けられます。
人間的信頼は人柄や人間性に関する信頼です。
能力的信頼は能力や実績に関する信頼です。
ビジネスの世界で言葉が影響力を持つようになるためには、人間的信頼と能力的信頼の両方が必要とされます。
仕事はできて十分な実績を残しているけど、人間的には軽蔑する人。
こういう人は能力的信頼は得られても、人間的信頼は得られていないでしょう。
一方、人柄や人間性は素晴らしいが、仕事はまるでできない人。
こういう人は人間的信頼は得られても、能力的信頼は得られていないでしょう。
いずれの人の言葉も素直に聞くことは難しいと思います。
人柄や人間性が素晴らしく、仕事もできて十分な実績を残している人。
こういう人の言うことであれば、素直に聞けるのではないでしょうか。
そのため、ビジネスの世界で影響力を発揮するには、人間的信頼と能力的信頼の両方が求められます。
人間的信頼を感じる人の特徴とは
能力的信頼は、スピードと正確性を持って仕事をこなし、求められる成果をあげ、実績を残していくことで培われていきます。
そのため、能力的信頼を得るためにはどうすればいいのかは比較的イメージしやすいと思います。
一方で、人間的信頼は抽象的なものであるため、人間的信頼を得るためには具体的に何をすればいいのかについてはイメージしにくい方がほとんどではないでしょうか。
経営心理士講座の経営心理入門では、受講生の方に「どのような人に人間的信頼を感じるか?」というテーマでこれまで1,000名以上の方にディスカッションをやっていただき、出た意見を記録してその内容を分析してきました。
その結果、記録された数々の意見は3つの要素に分類できることが分かりました。
そして、具体的にどういった行動、発言、振る舞い、態度が人間的信頼に繋がるのかの傾向が統計的に明らかになりました。
経営心理入門ではこの3つの要素について、ビジネスの現場の実例を交えて体系的に説明し、その在り方を身に付けていくためのワークを実施していきます。
業績は2倍に上がり、オフィスを増床
経営心理入門を受講された方は「何を言うか」の前提として信頼を得て「誰が言うか」の「誰」にならないと、何を言っても意味がないことに気付かれます。
不動産会社を経営されている受講生の方は、部下に対して強い口調で指示をするものの、受け身の姿勢でしか動かない状況に苛立ちを覚えていました。
ところが講座を受講する中で、信頼を得ていない状況でいくら強い口調で言葉を発しても、その言葉は影響力を持たないことを実感されます。
以降、「何を言うか」以上に「誰が言うか」を意識し、信頼を得る在り方を徹底されました。
その結果、言ってもなかなか動かなかった部下たちが、自分が何も言わなくても自発的に動いてくれるようになり、売上は2倍以上に上がり、規模を拡大され、オフィス増床のための引っ越しを既に2回されています。
また、金融業界の営業職の方は、紹介をもらうことを重要視し、お客様に「周りに○○でお困りの方がいらっしゃいましたらご紹介下さい」と伝えるも、なかなか紹介が得られず、営業成績も伸び悩んでいました。
そこで発する言葉の力は信頼の度合いに比例することを知り、日々の在り方を変えられました。
その結果、じわりじわりと紹介が来るようになり、今では優れた営業成績を残すようになり表彰を受けるまでになったとのことです。
その他、成果を残された方の事例はこちらをご参照ください。
影響力の発揮によって経営、ビジネスで成果をあげた方の事例はこちら
この経営心理入門の詳細は下記のリンクご参照いただければと思います。
各コースの日程はこちら
https://keiei-shinri.or.jp/applyinfo/schedule/
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経営心理士講座はその成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行、大手企業、士業の認定研修にも導入されています。
また、経営心理士講座の説明会である体験講座「経営心理学を用いると人材と業績はこう変わる」を毎月開催しております。
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