2021.9.19信頼関係が築けない人のコミュニケーションの特徴とは?信頼を感じる心理的構造
この記事の執筆者
藤田 耕司(ふじた こうじ)
(社)日本経営心理士協会 代表理事/経営心理士、公認会計士、税理士
19歳から心理学を学び、1,200件超の経営指導の経験を基に成果を出す人の行動を心理学的に分析し、経営心理学として体系化。その内容を指導し、経営改善の成果を高める。
その手法を伝える経営心理士講座を開講。国内、海外からのべ4,000名超が受講。民間企業や金融庁でもその内容が導入される。日経新聞、日経ビジネス等、メディア取材も多数。
日本経営心理士協会代表の藤田です。
私は経営心理士として優れた経営者やビジネスパーソンの行動を心理学的に分析した結果を経営心理学として体系化し、経営のコンサルティングを行い、その内容を学ぶ経営心理士講座を主宰しています。
上司、部下、お客様、ビジネスパートナー。
こういった相手と信頼関係が構築できるかどうかは、営業成績やマネジメント、人材育成などに大きく影響します。
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経営やビジネスの根幹はこの信頼関係作りにあると言っても過言ではありません。
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ただ、頻繁にコミュニケーションをとってもなかなか信頼関係を築けないという方もいれば、短時間で相手と信頼関係を築ける人もいます。
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この違いは一体どこから生まれるのでしょうか。
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この点、当協会ではこれまで1,000人を超える経営心理士講座の受講生の方に「どのような人は人間的に信頼できるか」についてディスカッションしていただき、その結果を統計的に分析してきました。
その結果、その内容には明確な傾向が出ており、その内容を講座に取り入れるようにしたところ、受講生の方々が営業やマネジメント、人材育成などにおいて大きな成果を出されるようになりました。
実際の受講生の成果についてはこちらをご覧いただければと思います。
信頼を得ることで部下との関係が変わり、組織が成長した人の事例はこちら
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なぜ信頼関係を築くことが重要なのか
経営やビジネスでは、部下、上司、お客様といった人とコミュニケーションをとり、こちらの意図している方向に動いてもらうことが必要になります。
こういった人を動かす力のことを「影響力」と呼んでいます。
影響力は2つの要素から構成されます。
一つは「何を言うか」という言葉の要素。
もう一つは「誰が言うか」という信頼の要素です。
同じ言葉でも信頼を得た人が言うのと、信頼を失った人が言うのとでは、相手が動く可能性はまるで異なります。
例えば、「今回はこの方針でいこう」という言葉を、メンバーから厚い信頼を得ているリーダーが言えば、メンバーはすんなり動いてくれるでしょう。
一方、メンバーから信頼を失ってしまったリーダーが言えば、メンバーはおそらく動かないでしょう。
このように、信頼は発する言葉に力を宿します。
信頼を得た人の言葉は一言で相手を動かす力を持ちますが、信頼を失った人は何を言っても相手は動かないでしょう。
そのため、信頼を得ることは経営やビジネスを行う上でも極めて重要になります。
信頼関係を築く上で「聴く」ことの重要性
上記の通り「どのような人は人間的に信頼できるか」についてのディスカッションの結果を統計的に分析して分かった一つの傾向として挙げられるのが、「聴く」ことの重要性です。
「親身になって話を聴いてくれる人」
- これが多い答えの一つでした。
- この分析とは別に、こんなアンケートをとったことがあります。
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「話し上手の人と、聴き上手の人。どちらの人に信頼を覚えやすいですか?」
このアンケートに対して、あなたは何と答えるでしょうか?
このアンケートの結果は、9割以上の方が「聴き上手」と答えました。
これらの結果からも信頼関係を築く上で「聴く」ことの大切さがお分かりいただけると思います。
人が持つ欲求と信頼の関係
ではなぜ「聴く」ことが信頼関係を築くことと大きな関連を持つのでしょうか。
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人は「認められたい」という承認欲求を持っています。
- 認められると感じる上で必要なのが、自分の言葉を受け入れてくれるということです。
自分の発した言葉が受け入れられなくて、認めてもらえたと感じることは難しいでしょう。
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人は「自分の言葉を大切に扱って欲しい」、「自分の話に共感して欲しい」という欲求を持ちます。
この欲求を満たしてくれる人には信頼を覚えやすく、この欲求を満たしてくれない人には信頼を覚えにくいという傾向があります。
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イメージしてみて下さい。
自分の話をろくに聞こうとせず、自分ばかり話そうとする人に信頼を覚えるでしょうか。
逆に、自分の話を最後までしっかり聴いて、自分の話に共感してくれて、同じ気持ちになってくれる人には、心を開きたくなるのではないでしょうか。
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こういう承認欲求を満たすコミュニケーションがとれているかどうかで、信頼関係が築けるかどうかが大きく変わります。
話の聴き方には、人に対する向き合い方が表れます。
人を大切にする人、人に対する優しさを持った人は、相手の発する言葉も大切に扱おうとします。
その結果、相手の話をしっかり聴こうとします。
一方で、人を大切にできない人、人に対する優しさがない人は、相手の発する言葉も大切に扱うことができません。
その結果、相手の話を丁寧に聴くことができません。
話の聴き方にはそういった本性が自ずと表れます。
そして、そういうところから信頼できるかどうかの印象が形成されていきます。
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信頼関係を築くために絶対にやってはいけないこと
- 上記の内容からもお分かりの通り、相手の話を聴かずに自分ばかり話す人は、なかなか信頼関係が築けません。
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本人は「自分は周りから信頼されている」と思っていても、周りは全くそうは思っていなかったりします。
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そして、特にやってはいけないこと、それは相手の話をさえぎって自分が話すということを繰り返すことです。
- 人は「自分の発した言葉を大切に扱って欲しい」という気持ちを強く抱いています。
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その言葉を繰り返しさえぎられると強い不快感を覚え、時には傷つきます。
そういった人には不信感を抱くでしょう。
ただ、これをやってしまいがちな人がいます。
それが頭の回転が速い人です。
頭の回転が速い人は相手が話し終わる前に相手の言いたいことが分かり、それに対して自分が言うことも決まってしまいます。
そうなると相手が話し終わるのを待てずに相手の話をさえぎって自分が話してしまいます。
非常に頭の回転が速く、仕事も早く、優秀な人がいました。
ただ、その人は誰かと話す際、ほぼ毎回相手が話し終える前にその話をさえぎって話していました。
相手は不快感を覚えるものの、本人はそれに気付いていませんでした。
その結果、その人は仕事はできるが人がついてこない人になっていました。
改めて話の聴き方が信頼関係を築く上では重要だということを認識させられました。
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「この人は信頼できそうだ」と感じる聴き方とは
信頼関係を築くためには「何を話すかが大事だ」と考えている方もいらっしゃいます。 -
ただ、これまでの話を踏まえると、「何を話すか」の前に「どう聴くか」が重要だということがお分かりいただけたのではないかと思います。
この点について、経営心理士講座の経営心理入門では「どういう話の聴き方をしてくれると、この人は信頼できそうだと感じますか?」というテーマでディスカッションをしていただいています。
こちらも1,000人超の方にディスカッションしていただき、その答えを分析してきました。
その結果分かったのは、その答えは5パターンに分類されるということです。
経営心理入門ではこの5つの項目を満たす聴き方について、ビジネスの現場の実例を交えて体系的にご説明していきます。
そして、信頼関係を築くコミュニケーションとは何かということを掘り下げて理解し、実際にそういうコミュニケーションが現場でとれるようにしていきます。
- 経営心理入門の詳細はこちらになりますので、ご興味ある方はご覧ください。
- 経営心理入門 ~経営・ビジネスを司る影響力~
https//keiei-shinri.or.jp/applyinfo/course/keiei
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経営心理士講座はその成果の高さが認められ、金融庁や日本銀行、大手企業、大学の研修や講義などにも導入されています。
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