ダブルバインド - 一般社団法人日本経営心理士協会
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ダブルバインド

ダブルバインドとは

ダブルバインドとは、二つの矛盾したメッセージを同時に受けることで、心理的なストレスを感じたり、混乱したりすることを指します。

1951年に出版された、人類学者であるグレゴリー・ベイトソンとジャーゲン・ロイシュの共著『精神のコミュニケーション』に始まり、1972年に執筆された『精神の生態学』によってダブルバインドの理論が構築されました。

ダブル(Double)は「二重」、バインド(Bind)は「拘束」という意味があり、日本語では「二重束縛」と訳されます。

例えば、上司や先輩から「わからないことがあればすぐに聞いて」と言われたにも関わらず、実際に聞きに行くと「それくらいのことは自分で考えよう」と言われてしまい困惑してしまう状況がダブルバインドとなります。

この二つのメッセージは矛盾しているので、どちらの選択肢を選んだとしてももう一方に背くことになってしまうため正解がなく、受け手は強いストレスを感じてしまうことがあります。

 

ダブルバインドの種類

ダブルバインドには、「肯定的ダブルバインド」と「否定的ダブルバインド」の2種類があります。

▽肯定的ダブルバインド
肯定的ダブルバインドとは、2種類のメッセージのうち、どちらに従ったとしても受け手にとってはプラスになるものです。

例えば、「ケーキを買ってきたけど、どちらを食べる?」といった状況です。

 

▽否定的ダブルバインド
否定的ダブルバインドは、2種類のメッセージのうち、どちらに従ったとしても受け手にとってはマイナスになるものです。

先ほども例に挙げましたが、「何でも質問していい」と言われて、それに従うと「それくらい自分で考えろ」と怒られてしまうような状況です。

この状況では、例え質問をしなかった場合でも、「なんで質問しなかったの?」と責められ、結果的に怒られてしまいます。

否定的ダブルバインドは相手に大きな苦痛を与えてしまうことを理解し、できる限り使用は控えるように心掛けることが重要です。

 

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否定的ダブルバインドが与える心理的影響と回避方法

ビジネスシーンにおいて、特に上司から部下に対する発言や命令は、否定的ダブルバインドに繋がる危険があるため、十分に注意しなければなりません。

例えば、何かあったら相談するように伝えていたのにも関わらず、部下から相談を受けた際に「それくらいのことは自分で考えろ」と発言したり、反対に何も相談せずに部下が進めている様子を見て「相談しろ」と言ってしまうケースや、仕事の失敗原因を突き止めるために理由を説明するよう求めたにも関わらず「言い訳をするな」と叱ってしまったりするケースが想定されます。

上司のそれらの言動が、仮に部下を思うがゆえのものであったとしても、相手がダブルバインドを感じてしまった場合、それが繰り返されることで精神的に追い詰めてしまう危険があります。
あるいは、ダブルバインドの程度や頻度が客観的に見て許容される範囲を超えている場合、モラルハラスメントやパワーハラスメントとも判断されかねません。

それほどに、ダブルバインドが与える心理的影響が大きいことは理解しておかなければならないことなのです。


このような状態を防ぐためには、指示の仕方を見直し、2つのメッセージが矛盾しないよう心掛ける必要があります。

先の例の解決策としては、「重要なことは報告しなさい」という指示を伝えることです。
そうすれば、もしそこまで重要でないことを報告された場合には「この件に関しては、そこまで重要ではないから次からは報告しなくてもいいよ」と伝えられるため、否定的ダブルバインドを回避し、お互い納得感を持って指示を進めることができます。

 

肯定的ダブルバインドを活用し、ビジネスに活かす

ダブルバインドのうち肯定的ダブルバインドは、ビジネスにうまく活かすこともできます。

例えば、顧客の購入意欲を高めたい場合にも合肯定的ダブルバインドは有効です。
「弊社の製品を取り入れるとしたら、白色がいいでしょうか?あるいは黒色がいいでしょうか」というように、「YES or NO」ではなく「A or B」の質問をすることが有効な手段の1つです。
「買いますか?買いませんか?」ではなく、「どちらを買いますか?」という選択肢へ顧客を誘導することができるため、自ずと相手の購買意欲を引き出せるのです。

 

否定的ダブルバインドによって悪影響を受けている時の対処法

もし自分が否定的ダブルバインドによって心理的にマイナス影響を受けてしまった場合、客観的に現状を把握し、問題点を理解することが重要です。

メンターや上司などの第三者に相談することもその手段の1つですし、自ら状況を客観視することで冷静になる方法もあります。

 

ダブルバインドが与える影響はプラスにもマイナスにもなる

ダブルバインドは、肯定的・否定的の2つの心理的側面を持っています。

日常生活に限らず、ビジネスの場面でもコミュニケーションにおいて受け手の心理を考えることは重要です。ダブルバインドの仕組みや与える影響を理解し、適切に使うことで、ビジネスコミュニケーションをより有効的にしていきましょう。

 

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では、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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