EQ(educational quotient)
EQとは、自分の感情をコントロールする能力や自分や他者の感情を理解する能力であり、「心の知能指数」とも言われています。
米国の心理学者であるピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏によって1990年に提唱され、以来、この考えが普及し、今やビジネスを成功に導くために欠かせない能力の1つとして、EQは多くの経営者・ビジネスマンに注目され続けています。
IQとEQの違いとは
IQは「頭の知能指数」を指すのに対し、EQは「心の知能指数」を指します。
この2つの最大の違いは、IQは先天的に決まっている能力であるのに対し、EQは後天的に身につけることのできる能力である点です。
自分に様々な感情があるように、他者にも同じように感情や心の動きがあります。
これを押さえ込むのではなく、うまくコントロールする能力を身につけることで、「心の知能指数」であるEQを鍛えることができます。
リーダーとしてビジネスを成功に導きたいなら
そもそも1990年にEQが提唱されるに至ったきっかけは、ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏が、当時一般的な考え方であった「ビジネスで成功するのはIQの高い人である」ことに疑問を持ったことにあります。
業績を上げている人が必ずしも突出した高いIQの持ち主ではなかったからです。
研究の結果分かったことは、大きな業績を上げている人ほど優れた対人関係能力を備えているということ。
つまり、自身の感情をコントロールし利用することに加え、他者の感情理解に長けていた――つまりEQが高い人こそが、ビジネスでの成功の鍵を握っていたのです。
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EQの4つの領域
EQは、①自己認識、②自己管理、③社会認識、④人間関係の管理の4つの領域から構成されます。
簡潔に言うと、自分の感情の状態を認識し、その感情を管理し、相手の感情の状態を認識し、その上でお互いの関係を調整していく力のことをいいます。
①自己認識
自己識別は、自分の感情や価値観、動機などについて認識し、理解していることです。
感情を日々の自分や相手の感情の動き・状態を正確に認識することが、まず必要です。
例えば、突発的なトラブルに対して動揺しているとき、「いま自分は動揺している」と認識することなどです。
②感情の利用
状況に合わせた適切な行動をとったり、問題を解決したりするために必要な感情の状態を生み出すことです。
例えば「顧客からのクレームに対して、動揺せずに感情を落ち着かせ、冷静に話を聞く姿勢を取る」などのように、いかに感情をコントロールすることができるかが「感情の利用」です。
③感情の理解
EQの4つの能力のうち、最も経験を求められる能力が、「感情の理解」です。
相手の表情や言動、さらには状況や環境など、あらゆる情報から総合的に判断して自分や相手の感情の状態とその感情が生じた原因について推察することです。
④感情の調整
上記3つの能力を総合的に活用して、特に対人関係の中で求められる、自分の感情を適切に調整することのできる能力が「感情の調整」です。
この能力を高めることで、前向きな行動を起こすことができる、高い目標に向かって努力を継続できるなど、特に対人関係の中で生まれる感情の動きに対して、より適切に感情を調整していくことができるようになります。
EQは鍛えられる
ビジネスにおいてもEQの重要度が高いことは、イメージできるかと思います。
日常生活はもちろん、ビジネスのあらゆるシーンにおいても、論理・理性だけではなく「感情」で物事が動く場面が多々あるためです。
残念なことに日本人のEQスコアは世界で最も低いと言われています(シックスセカンズジャパン:https://6seconds-cart.com/)。
しかし、先述の通り、EQは後天的に鍛えることができるものです。
EQを鍛えるスタンダートな方法は日記をつけること。
自分の感情や心の動きと毎日向き合うことで、客観的に感情を見つめることができるようになり、感情のパターンを知ることにもつながります。
リーダーに必要なスキル・EQ
EQは自身の感情のコントロールやモチベーションの向上に必要なだけではなく、コミュニケーションやリーダーシップに必要な重要スキルです。
実際、2016年のダボス会議において、ビジネスパーソンに必要なスキルTOP10にEQが挙げられており、日本国内でもさらに注目度が高まっています。
メンバーの心の動きを理解し、適切なコミュニケーションをとることはもちろん、危機的状況に陥っても冷静に感情をコントロールし、立ち向かっていくことのできるリーダーが求められているのです。
しかし、ただEQスコアが高ければ良いのかというと、決してそうではありません。
真のリーダーは、IQ(知能指数)とEQ(心の知能指数)の両方をうまく活用しています。
知識や学力を合理的に判断することのできる能力と、自分の感情をコントロールし、他者の心の動きを適切に理解し判断できる能力の双方を備える人こそが、ビジネスを成功に導く真のリーダーになりうるのです。
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では、最後までお読みいただき、ありがとうございました。