カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、アメリカで放映された、ローマ皇帝カリグラを題材にした映画『カリギュラ』に由来した心理効果です。
当時、過激なシーンに対する見解が厳しかったボストンでは、残虐なシーンや性的なシーンが多い『カリギュラ』を放映禁止の映画としました。
それに反発した市民は、ボストン近郊の映画館まで『カリギュラ』を鑑賞するために足を伸ばし、話題が話題を呼んだ結果、のちに『カリギュラ』は大ヒット作品となりました。
このように、人はある事柄について「禁止」や「限定」をされると、かえってその事柄に関心を示し、実行したくなる傾向にあります。
その心理効果を、映画『カリギュラ』にちなんで、カリギュラ効果と呼びます。
カリギュラ効果のメカニズム「心理的リアクタンス」
カリギュラ効果のメカニズムとして、人はある事柄を他者から禁止されると、その事柄に対するフラストレーションが増幅する傾向にあります。
そして、その増幅したフラストレーションを満たそうとする心理が働き、禁止されていることを実行してしまいます。
この心理現象を、アメリカの心理学者ジャック・ブレームは、制限された自由を回復しようとする反発作用の働きとして「心理的リアクタンス」と名付けました。
ただ、この心理効果は方法によっては自身の利益となるように活用することが可能です。
特にビジネスにおいては、このカリギュラ効果を使ったビジネス戦略が積極的に取り入れられており、その活用法は業種を問わず普及しています。
ビジネスにおけるカリギュラ効果の有効性
ビジネスにおけるカリギュラ効果の活用例として、企業におけるマーケティング戦略が挙げられます。
代表的な例として、テレビなどで頻繁に用いられる「続きはCMの後で」といった文言や「〇〇限定」「興味がある方以外は絶対に見ないでください」といったキャッチコピーなどがあります。
このような消費者の行動を制限もしくは限定するテクニックは、商品やサービスに対する付加価値の増加にも繋がり、消費者の関心を引きつける効果が見込まれます。
「完全予約制」や「一見さんお断り」といった制限においても、消費者へ、サービスを利用することに対する一種のステータスを与えることができ、付加価値の増加といった側面において有効だとされています。
営業活動においても、単に「買ってください」と頼むよりも「数量限定なので、必要な方以外は買わないでください」というように、あえて強く訴求せず、制限を設けることで消費者の購買意欲を増幅させる効果が期待できます。
ただ、注意点として、禁止や制限を解く基準が高すぎると、かえって消費者の購買意欲は減少してしまいます。
例えば、「入店するには5名以上からの紹介状が必要です」とすると、制限を解く基準が高すぎるため、逆に消費者の来店意欲は減少します。
ですので、この場合は「入店するには紹介状が必要です」と、少々努力すれば誰でも手が届きそうな基準まで、入店難易度を下げる方がよいでしょう。
また、「購入禁止」や「入店禁止」など、制限の表現が強すぎるケースもかえって逆効果となってしまうため、カリギュラ効果を活用する際は、制限を解く基準の設定や表現の仕方などに注意が必要です。
カリギュラ効果が与える教育への影響
現状、多くの家庭では幼少期の子どもへの教育において、「~をしてはダメ」や「~をやめて~をしなさい」といった、一方的にある事柄を禁止する教育法が見受けられます。
このように親に怒られた子どもは、まさに、映画『カリギュラ』の鑑賞を禁止されたボストン市民と同様の状況にあり、禁止されたことに対するフラストレーションが増幅し、その心理的抑圧を解消したいという心理状況にあります。
結果として、このような言葉は子どもの勉強意欲や自己肯定感を減少させ、コミュニケーションや安心感といった感情を損なわせる要因となります。
上述のようなケースの場合は、「なぜそれをしてはいけないのか」といった禁止する理由をきちんと説明してあげる必要があります。
例えば、包丁などを収納している戸棚を子どもが開きたがっている場合、単に「開けてはダメ」と禁止するのではなく、戸棚を開いて子どもに包丁を見せ「中にはあぶないものが入っていて、それを触ったら怪我をしてしまうから開けてはダメ」と説明してあげると、子どもは戸棚の中に何が入っているのかという好奇心を満たせ、かつ、なぜ戸棚を開いてはいけないのかを理解することができます。
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では、最後までお読みいただき、ありがとうございました。